AI に長めの作業を任せていると、こういう瞬間があります。
「あれ? 以前決めたことと違うような…?」
「あれ? 前に言ったこと忘れてる…?」

AI が忘れてしまうこと自体は、コンテキストウィンドウの記事 で書いたとおり仕組み上のもので、正直仕方のない部分もあります。
そこを補うために、AI に持たせるメモを用意しました。ところが、手順を読んでいなかったり、決めごとを忘れていたり。
やっていくうちに、使用者の伝え方次第で、AI を手助けすることができると分かってきた、という話です。
⚠️ 本記事は AIエージェント(Claude Code)に関する話をベースにしています。
メモに書いてあったのに、守られていなかった
その日やっていたのは、記事の下書き作りでした。ブログに載せる記事を AI に組んでもらう、という何度もやっている作業です。
📝 ちょっと補足:AI に「メモ」を預けておける
毎回いちいち説明しなくて済むように、決めごとを書いた文書を用意して、作業のたびに読ませる——という約束ができます。呼び方はツールによって違って、ChatGPT なら「カスタム指示」や「メモリ」がこれにあたります。
わたしは記事づくり用に1つ作って、そこに決めごとを足していく形にしています。
その記事づくり用のメモには、たとえばこんなことを書いています。
- 記事を投稿する画面では表形式が使えない。表になりそうな内容は箇条書きに崩す
- 公開する前に、設定が消えていないか目視で確認する
- 日付が必要なときは、推測せずコマンドで取得する
一度書いておけば、次からは読んだ前提で動いてくれる——はずでした。
ところが、表形式を使えないと覚えさせたはずなのに表が3つも入っていました。
長く一緒に作業していると、こういうことはちょこちょこ起きます。
- 一度直したはずのことが、また同じ形で上がってくる
- 決めた書き方と違うもので出てくる
- 「これ、前にこう決めなかったっけ?」とこちらが指摘する側になる
原因は2つありました
原因① 作業を重ねるうちに、情報がたまっていたこと
その日は同じ会話のまま、下書き以外にもいろいろな作業を頼んでいました。
作業が増えるほど、AI が抱える情報も増えていきます。増えすぎると、古いものから要点だけに圧縮されていきます(コンテキストウィンドウの記事 で書いたとおりです)。
早いうちに伝えたことほど、後半では薄くなっていきます。
原因② メモを読み込めていなかったこと
もうひとつ、メモを見返してみると 2種類ありました。

- 毎回かならず読むメモ … 作業を始めるとき、必ず目を通す短いもの
- 必要そうなときだけ開くメモ … 関係ありそうだと判断したときに取り出す、分厚いほう
表のルールは、分厚いほうに書いてありました。しかも毎回かならず読む短いメモには、その一行が入っていなかった。
「書いてある」けれど、「その時に読まれているとは限らない」という状態でした。
📌 AI が一度に読める量には限りがあるので、全部をいつも読ませておくことはできません。何を毎回読ませるかを選ぶことになります。
使う側が助ける、5つの伝え方
この2つが分かってから、いまはこの5つをやっています。①②が原因①に、③④が原因②に効きます。⑤は全体の整理です。
📝 どれも普通の言葉で頼めます。特別な設定や、仕組みを覚える必要はありません。

① 長くなったら、会話を分ける
テーマが変わったら新しく始めて、必要な前提だけを短く伝え直す。抱える量がリセットされます。
設定も道具も要らないので、いちばん手軽に試せます。
② その場で覚えさせる
決めごとが決まったら、その場で「これ、覚えておいて」と伝えます。
作業の途中で決めたことは、そのままにしておくと後から来た情報に埋もれます。会話や作業の区切りで覚えさせておけば、埋もれる前にメモへ移せます。
③ 大事なものは、置き場所を変える
こちらは置き場所の話です。
絶対に守ってほしい決めごとだけ、毎回かならず読むメモのほうへ移します。長い説明ではなく、一行で。
📌 この記事を書きながら、「表は使わない」の一行を実際に移しました。
④ 覚えているか、確かめさせる
作業に入る前のひと声です。⚠️ ただし「前に決めたこと、覚えてる?」はおすすめしません。読んでいなくても「覚えています」と返ってくることがあるからです(ハルシネーションの記事 の話ですね)。
聞くなら「いま守るべき決めごとを、挙げてみて」。中身を言わせれば、読んでいないときは答えられません。
⑤ たまったメモを、整理させる
覚えさせることが増えると、だんだん散らかります。作業が一段落したときや、散らかってきたなと感じたときに「ここまでの内容を整理して、毎回読むほうに書き直しておいて」と頼みます。
⚠️ それでも、守られないことはあります
公式ドキュメントには、こうしたメモについて 「Claude はこれらをコンテキストとして扱い、強制的な設定ではありません」 と書かれています。読んでいても、そのとおりに動くとは限らないということです。
実際、5つやっていても「以前決めたことと違うような…?」は今も起きます。ゼロにする方法ではなく、減らす方法だと思ってください。
まとめ

ふんわり理解チェック
- 決めごとが守られないとき、書いていないとは限らない。読まれていないこともある
- ① 話が長くなったら、会話を分ける
- ② 決めたその場で「覚えておいて」と伝える
- ③ 絶対に守ってほしいことは、毎回かならず読むメモへ移す
- ④ 「いま守るべき決めごとを、挙げてみて」で確かめる
- ⑤ 散らかってきたら、整理を頼む
こうして並べてみると、仕組みは人間と全然違うのに、付き合い方は似ているなと思います。伝え忘れたことは伝わりませんし、抱える情報が増えれば要点しか残りません。
執筆こぼれ話
とはいえ、この「似ている」は言い切れないところでもあります。AI が人間に似ているのか、それとも使う側(この場合はわたし)の伝え方の影響を受けているだけなのか。使い手の力量にもよる話なので、正直まだよく分かっていません。この記事も、そこは分からないまま書いています🪶
AI はとても優秀です。だからこそ、使う側が仕組みを知っているほど、引き出せるものが増えていきます。
忘れられて困ったときも、AI のせいにする前に伝え方を見直してみる。そのほうが結局は早いですし、これからはそういう付き合い方が当たり前になっていくんだろうな、と思っています 🌱
(AI が忘れる仕組みそのものは コンテキストウィンドウってなに?、伝え方をもう一歩深めるなら プロンプトってなに? もどうぞ)