「生成AI って、AI と何が違うの?」「ChatGPT は AI? それとも生成AI?」「対話型AI とか、〇〇AI っていろいろ聞くけど」 ニュースでも職場でも毎日のように出てくるのに、2つの言葉の違いを説明するのは意外とむずかしいです。

生成AIとAIの違いや、いろいろな〇〇AIという呼び方に迷っている場面
図1:よく聞くのに、違いは説明しにくい

今回は、生成AI と AI の違いを見たあと、ほかの「〇〇AI」という呼び方も整理します。

生成AIってなに? AIとの違い

生成AI は、AI のうち、文章・画像・音声などを新しく作り出すもの です。

AIという大きな枠の中に、生成AIが含まれている
図2:AI という大きな枠の中に、生成AI がある

AI は、人が頭を使ってやっていた作業を、コンピュータにやらせる技術の全体を指す言葉です。生成AI は、その中の一種です。

ChatGPT は AI? それとも生成AI?

ふんわりIT博士

どちらも正しいんじゃ。ChatGPT は文章を作るから生成AI で、生成AI は AI の一種じゃから、AI でもあるんじゃよ。

ChatGPT のような文章を作る AI が広まってから、話題になる AI の多くが生成AI になりました。そのため、ふだんの会話では「AI」と言うだけで生成AI を指していることが多く、2つの言葉が区別されずに使われています。

生成AI 以外の AI は、何をしているのか

迷惑メールを見分ける、顔で本人を確認する、おすすめを予測する、3つの身近なAIの例
図3:生成AI のほかにも、身近な AI がたくさんある

生成AI 以外の AI は、何をしているのでしょうか。主な仕事は、見分けること と 予測すること です。

  • 迷惑メールの振り分け … 届いたメールが迷惑メールかどうかを見分ける
  • 顔認証 … カメラに映った顔が本人かどうかを見分ける
  • おすすめの表示 … 次に見たくなりそうな動画や商品を予測する

これらの AI が出す答えは、「はい/いいえ」や分類、数字です。文章や画像のような作品を作っているわけではありません。こうした AI は、「識別AI」「予測AI」「従来型AI」と呼ばれることもあります。

見分ける・予測する以外にも、囲碁の手を選ぶ AI や、車の運転を助ける AI のように、動きを決める AI があります。

このように、AI には、生成AI 以外にもいろいろな種類があり、ふだんの生活の中ですでに使われています。

ちょっと雑学:生成AI も、中では予測をしている

文章を作る生成AI は、「次に来そうな文字のかたまり(トークン)」を予測し、それを何度もくり返して文章にしています。予測をしているという点は同じですが、出てくるものが違います。生成AI からは、新しい文章が出てきます。

ほかにもある「〇〇AI」

対話型AI・画像生成AI・AIエージェント・マルチモーダルAIを、注目する点ごとに並べた図
図4:呼び方が違うのは、注目する点が違うから

「〇〇AI」という呼び方は、生成AI のほかにもたくさんあります。よく見かける4つを並べます。それぞれ、AI のどこに注目した呼び方なのかが違います。

  • 対話型AI … 使い方に注目した呼び方。会話の形でやり取りする AI
  • 画像生成AI … 作るものに注目した呼び方。文章で指示すると画像を作る AI。動画を作るものは動画生成AI と呼ぶ
  • AIエージェント … 任せ方に注目した呼び方。指示を受けると、手順を自分で考えて作業まで進める AI
  • マルチモーダルAI … 扱える情報に注目した呼び方。文字・画像・音声など、複数の種類の情報を扱える AI

写真を送って「これは何の花?」と聞けるのは、マルチモーダルAI だからです。ここで、「画像を読める」と「画像を作れる」は別の機能です。画像を読める AI が、画像を作れるとは限りません。両方できるものもあれば、読むだけのものもあります。

ちょっと雑学:汎用AI(AGI)は、決まった定義がない

ニュースで見かける「汎用AI(AGI)」は、人のように幅広い仕事をこなせる AI を指す言葉です。ただし、どこまでできれば汎用AI と呼ぶのかは、人によって違います。そのため、「まだ実現していない」という見方が多い一方で、「もう実現した」と言う人もいます。

1つの AI に、いくつも名前がつく

1つのAIに生成AI、対話型AI、マルチモーダルAIの名札がつく。作業を任せるときはAIエージェントの呼び方も加わる
図5:どれか1つではなく、同時にいくつも当てはまる

これらの呼び方は、AI をグループに分けたものではありません。注目する点が違うだけなので、1つの AI に、いくつもの呼び方が同時に当てはまります。

ChatGPT を例にすると、こうなります。

  • 文章を作るので、生成AI
  • 会話の形でやり取りするので、対話型AI
  • 文字のほかに画像や音声も扱えるので、マルチモーダルAI
  • 作業を任せる機能を使っているときは、AIエージェント

だから、「生成AI と対話型AI は、どちらが優れているか」という比べ方はできません。同じ AI を、別の点から呼んでいるだけです。

新しい「〇〇AI」という言葉に出会ったら、「AI のどこに注目した呼び方なのか」 を見ると、意味をつかみやすくなります。

まとめ

生成AIとAIの違いの要点を1枚にまとめた図
図6:生成AI と AI、これ1枚で

ふんわり理解チェック

  • 生成AI=AI のうち、文章・画像・音声などを新しく作り出すもの
  • 生成AI 以外の AI の主な仕事は、見分けることと予測すること。顔認証や迷惑メールの振り分けがその例
  • ふだんの「AI」は、生成AI を指していることが多い。言葉としては AI のほうが広い
  • 対話型AI・画像生成AI・AIエージェント・マルチモーダルAI は、注目する点が違う呼び方
  • 1つの AI に、いくつもの呼び方が同時に当てはまる

生成AI と AI の違いを知っておくと、新しい「〇〇AI」という言葉が出てきても、何の話をしているのかを落ち着いて読み取れます 🌱

(自分で作業を進める AI の話は AIエージェントってなに?、生成AI がまちがえる理由は ハルシネーションってなに?、AI への頼み方は プロンプトってなに? をどうぞ)