「スマホって、どうやって自分の場所が分かるの?」「GPS って、通信量はかかるの?」「建物の中だと、なんで位置がずれるの?」 地図アプリで毎日使っているのに、仕組みは意外と知らない言葉です。

スマホはどうやって場所が分かるの、GPSって通信量かかるの、建物の中だとなんでずれるの、と迷っている場面
図1:毎日使っているのに、仕組みは知らない

今回は、GPS がどうやって場所を割り出しているのかを見ていきます。

GPSってなに?

GPS は、空を回っている人工衛星から届く電波を使って、自分のいる場所を割り出す仕組み です。

上空約2万kmを回る人工衛星から電波が届き、スマホはそれを受け取って自分の場所を計算する
図2:衛星は位置と時刻を電波で流す。スマホは受け取って計算する

GPS の衛星は、地上からおよそ2万km の高さを回っています。衛星は、「自分はいまここにいて、この時刻に送った」という情報を、電波で流し続けています。

スマホは、その電波を受け取るだけ です。受け取った電波をもとに、自分の場所をスマホの中で計算しています。

ここが、モバイル通信との大きな違いです。モバイル通信は、スマホと基地局が電波を送り合って、データをやり取りする仕組みです。

GPS では、スマホと衛星が電波を送り合うことはありません。衛星からスマホへの一方通行です。

どうやって場所が分かるのか

衛星の電波が届くまでの時間から、衛星までの距離が分かる。複数の衛星からの距離が重なる1点が、自分の場所になる
図3:いくつもの衛星までの距離から、場所を1点に絞る

手がかりは、電波が届くまでにかかった時間 です。

  1. 電波には「いつ・どこから送ったか」が書いてある。受け取った時刻との差で、届くまでにかかった時間が分かる
  2. 電波が進む速さは決まっているので、かかった時間から、その衛星までの距離が分かる
  3. 1つの衛星だけでは、「この衛星から○○km」の円の上のどこか、までしか分からない
  4. いくつもの衛星までの距離を組み合わせると、すべての条件に合う場所が1点に絞れる

時計が正確なら3つで足りる計算ですが、スマホの時計は衛星ほど正確ではありません。そのずれも一緒に求めるために、1つ多い4つ以上の衛星を使うのが基本です。

ちょっと雑学:GPS は、本来はアメリカの衛星測位システムの名前

GPS は、正しくはアメリカが運用している衛星測位システムの名前です。

いまのスマホの多くは、日本の「みちびき」など、ほかの国や地域の衛星の電波もあわせて使っています。見える衛星が多いほど、位置が安定するためです。

全体をまとめて「衛星測位システム」と呼びますが、ふだんは GPS と呼ぶことがほとんどです。

なぜ建物の中だとずれるのか

マンションの地下では衛星の電波が遮られ、ビルの間では壁で跳ね返って遠回りする。どちらもスマホの現在地がずれる原因になる
図4:電波がさえぎられたり、跳ね返ったりするとずれる

衛星の電波は遠くから届くため、空が見えない場所では受け取りにくくなります。

  • 建物の中・地下 … 屋根や壁に電波がさえぎられて、受け取れる衛星が減る
  • 高いビルの間 … 電波が壁で跳ね返り、遠回りして届く。届くまでの時間が長くなるので、距離を長く見積もってしまい、場所がずれる

それでも建物の中で地図が使えるのは、スマホが GPS 以外の手がかりも使っているからです。近くの Wi-Fi やモバイル通信の基地局(電波塔)などの情報から、場所を推し量っています。どれくらい正確かは、場所や受信状況によって変わります。

設定画面の「位置情報」は、こうした手がかりをまとめたもので、GPS はその中の1つです。

GPSに通信量はかかるのか

衛星の電波を受け取るのに通信量はかからない。地図の画像を読み込むのには通信量を使う
図5:衛星の電波を受け取るのに通信量はかからない。地図の表示に通信を使う

GPS を使うと、ギガは減るの?

ふんわりIT博士

衛星の電波を受け取ること自体には、通信量はかからないんじゃ。ギガを使うのは、地図の画像や道案内を読み込むほうなんじゃよ。

ただし、衛星をつかまえるまでには時間がかかるため、ネット経由の情報で手助けすることがあります。圏外ではこの手助けがないので、最初に場所が出るまで時間がかかることがあります。

地図アプリによっては、地図を先にダウンロードしておく(オフライン地図)と、圏外でも地図を表示できます。

まとめ

GPSの要点を1枚にまとめた図
図6:GPS、これ1枚で

ふんわり理解チェック

  • GPS=人工衛星から届く電波で、自分の場所を割り出す仕組み
  • スマホは電波を受け取るだけ。衛星に何かを送ることはない
  • 電波が届くまでの時間から、衛星までの距離が分かる。4つ以上の衛星を使って場所を1点に絞る
  • 建物の中やビルの間では、電波がさえぎられたり跳ね返ったりしてずれる。Wi-Fi や基地局などの情報で補っている
  • 衛星の電波を受け取ること自体に通信量はかからない。通信を使うのは主に地図の表示

GPS の仕組みを知っておくと、地図アプリの現在地がずれたときに、「空が見えていないからかもしれない」と落ち着いて考えられます 🌱

(スマホと基地局の関係は Wi-Fi と モバイル通信ってなに?、通信量の話は ギガってなに?、周波数で電波の届きやすさが変わる話は 4Gと5Gってなに? をどうぞ)