「格安 SIM って、なんであんなに安いの?」「大手と何が違うの?」「昼休みに遅くなるって聞くけど……」 安いのはうれしいけれど、理由が分からないと少し不安になります。

格安SIMはなぜ安いのか、大手と何が違うのか、混雑しやすいと聞くけど、と迷っている場面
図1:安いのはうれしい。でも理由が分からない

今回は、格安 SIM が安い理由を仕組みから見ていきます。理由が分かると、「混雑しやすい」と言われる理由も、同じ場所から出てくることが分かります。

格安SIMってなに?

ざっくり言うと、格安 SIM は 自分の電波塔を持たない会社が、大手から回線を借りて売っているスマホ回線 です。

大手キャリアの電波塔から、格安SIMの会社が回線を借りて利用者に売っている
図2:電波塔は大手のもの。格安SIMの会社はそれを借りて売る

スマホの電波は、街中の電波塔から届きます(くわしくは Wi-Fi とモバイル通信)。この電波塔(基地局とも呼びます)を全国に建てているのが、docomo・au・SoftBank などの大手キャリアです。

格安 SIM の会社は、この電波塔を自分では建てません。大手に利用料を払って、大手の回線の一部を借り、それを自分のプランとして利用者に売っています。だから、格安 SIM を契約しても、届く電波そのものは大手のものです。電波を届ける会社と、契約する会社が別になる、というわけです。

こうした会社は、正式には MVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれます。名前は覚えなくて大丈夫です。「回線を借りて売る会社」とだけ押さえておけば、あとの話が全部つながります。この記事で「格安 SIM」と呼ぶのは、主にこうした会社のことです。

安い理由①:電波塔を持たない

大手キャリアの料金には、全国に電波塔を建てて、保守し続ける費用 が入っています。

大手は全国に電波塔を建てて保守している。格安SIMは自前で建てる必要がない
図3:全国の電波塔を、自前で建てる必要がない

山の上にも、地下にも、離島にも電波を届けるには、電波塔を建てて、電気を通して、壊れたら直す人が要ります。この費用は、利用者の月額料金から少しずつ回収されています。

格安 SIM の会社は、全国の電波塔を自前で建てる必要がありません。回線の利用料は払いますが、建てて守り続ける費用は持たない ので、その差が料金に出ます。

安い理由②:店と人を減らしている

大手には、街のあちこちに店舗があります。店舗には家賃と、そこで働く人の給料がかかります。

大手は店舗と店員がいる。格安SIMの多くはネット申し込みとチャットサポートが中心
図4:店舗を減らし、申し込みも相談もネット中心にする

格安 SIM の多くは、店舗を減らして、申し込みはネット、相談はチャットやメールが中心 です。人と場所にかける費用を抑えているぶん、料金を下げられます(店舗で対応してくれる会社もあります)。

裏を返すと、「店に行って相談したい」「設定を代わりにやってほしい」という人には、向いていない部分でもあります。安さと引き換えに、自分でやることが少し増えます。

安い理由③:借りる回線の「幅」で、利用料が決まる

ここが、この記事でいちばん大事なところです。

※ここで言う「利用料」は、格安 SIM の会社が大手に払うお金のことです。

格安SIMの会社は大手から回線の幅を決めて借りる。その幅を利用者みんなで分け合う
図5:借りた「幅」を、利用者みんなで分け合う

格安 SIM の会社が大手から借りるのは、電波そのものではなく、大手のネットワークとつながる回線の「幅」 です。同時にこれだけの量を流せる、という枠だと思ってください。大手に払う利用料は、主にこの幅で決まります。 幅を広く借りれば利用料は上がり、狭く借りれば安く済みます。

そして、借りた幅を、その会社の利用者みんなで分け合います。

  • 使う人が少ない時間は、一人あたりの取り分が多く、速い
  • 使う人が多い時間は、一人あたりの取り分が減り、遅くなる

つまり、安さと混雑しやすさは、同じ理由から出ています。幅を狭く借りるほど安くできますが、混む時間には遅くなりやすい。幅を広く借りれば混雑には強くなりますが、そのぶん費用は増えます(実際の料金は、各社の方針でも変わります)。

昼休みに遅くなるのは、このため

「格安 SIM は昼休みに遅い」とよく言われます。

昼休みは利用者が一斉にスマホを使うので、借りた幅に通信が集中して遅くなる
図6:みんなが一斉に使う時間だけ、取り分が減る

昼の12時台は、多くの人が一斉にスマホを開きます。借りた幅は変わらないのに、通信が一斉に集中するので、確保した回線の容量が足りなくなることがあります。これが、昼休みに遅くなる主な理由です。

夜の通勤時間帯や、休日の夕方にも同じことが起きます。逆に、深夜や平日の午前中は、同じ格安 SIM でも十分に速いことが多いです。遅いのは電波が届いていないからではなく、借りた幅に通信が集中するから です。

大手・楽天モバイル・格安SIMの区別

安い回線の話には、似た名前が3種類出てきます。ここを分けておくと、話が混ざりません。

大手キャリアは自分の電波塔を持つ。楽天モバイルは自分の電波塔を持つ4社目。格安SIMは電波を借りる。ahamoなどは大手の安いプラン
図7:電波塔を「持つ」のか「借りる」のかで分かれる
  • 大手キャリア(docomo・au・SoftBank)… 自分で電波塔を持っている
  • 楽天モバイル … 自分で電波塔を建てている 4社目。安いですが、仕組みは大手側です(一部の地域では au の電波を借りて補っています)
  • 格安 SIM(mineo・IIJmio・日本通信など)… 電波塔を持たず、大手から借りている
  • ahamo・povo・LINEMO … 大手が自分で出している安いプラン。電波も回線も大手のものそのままで、店舗での対応を減らしているぶん安い。「格安 SIM」と呼ばれることもありますが、回線を借りている会社ではありません

「安い」という一点では似て見えますが、電波塔を 持つ のか 借りる のかで、混雑への強さが変わります。

まとめ

ふんわり理解チェック

  • 格安SIM=自分の電波塔を持たず、大手から回線を借りて売る会社の回線
  • 安い理由①=全国の電波塔を自前で建てる必要がない
  • 安い理由②=店舗と人を減らしている
  • 安い理由③=借りる回線の幅で利用料が決まり、その幅を利用者で分け合う
  • 昼休みに遅いのは、借りた幅に通信が集中するから。安さと混雑は同じ理由
  • 楽天モバイルは電波塔を持つ4社目、ahamoなどは大手の安いプラン。どちらも、回線を借りる会社ではない

格安 SIM が安いのは、電波塔を自前で持たず、店を減らし、借りる回線の幅を抑えているからです。安さの理由を知っておくと、「混みやすい」も同じ話だと分かります 🌱

(電波塔とスマホの関係は Wi-Fi とモバイル通信、通信量のギガについては ギガってなに? をどうぞ)